介護が始まると、食事のことで初めて聞く言葉が一気に増えることがあります。
「きざみ食」
「やわらか食」
「ムース食」
「ペースト食」
病院や施設、宅配食や市販の介護食でも、いろいろな呼び方が出てきます。
なんとなくイメージはできるようで、実際には、
しおむすび「きざみ食とムース食は何が違うの?」
「やわらかい食事って、どのくらいやわらかいの?」



「うちの親には、どんな形の食事が合っているんだろう……」
と迷いやすいですよね。
私自身も、病院で働いていたときと高齢者施設で働いていたときでは、似たような食事形態でも呼び方が違うことがありました。
そんなときに、ひとつの目安として知っておきたいのが「UDF区分」です。
UDF区分を知っておくと、今後「なんだか食べにくそうだな」「この食事で合っているのかな」と感じたときに、病院や施設、専門職の方に相談しやすくなります。



まずは、写真を見ながら「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の違いを一緒に整理していきましょう。
むせ込みが増えている場合や、飲み込みに不安がある場合は、自己判断で食事形態を変えず、医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などに相談してください。
- 介護食でよく聞く食事形態の言葉がわかりにくい理由
- UDF区分とは何か
- 「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の違い
- 写真で見るやわらかさ・まとまり方の違い
- 食べにくそうなときに、病院や施設へ相談するときの考え方
UDF区分は、介護食のやわらかさを表す目安
UDFとは、ユニバーサルデザインフードのことです。
かむ力や飲み込む力が弱くなってきた方でも食べやすいよう配慮された食品で、その食べやすさを、かたさや粘度などに応じて分けた目安が「UDF区分」です。
市販の介護食のパッケージには、このUDFのマークと、「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」などの区分が表示されていることがあります。


UDF区分の4段階|まずは全体を知っておこう


UDF区分は、主に4つの段階に分かれています。
| UDF区分 | やわらかさの目安 | イメージ |
|---|---|---|
| 区分1 容易にかめる | 普通食に近いが、やわらかめ | かたいものや大きいものが少し食べにくい方向けの目安 |
| 区分2 歯ぐきでつぶせる | 歯を使わなくても、歯ぐきでつぶしやすい | やわらかいものなら食べやすい方向けの目安 |
| 区分3 舌でつぶせる | 舌と上あごでつぶしやすい | 細かくやわらかいものが食べやすい方向けの目安 |
| 区分4 かまなくてよい | なめらかで、ペースト状に近い | 固形物が食べにくい方向けの目安 |
区分の正式な定義とかたさの数値は、日本介護食品協議会のサイトで公開されています。
ここで大切なのは、「やわらかいほど良い」ということではありません。
粒や具材感がある方が食事らしく感じる方もいれば、粒が残ると口の中で処理しにくい方もいます。
いちばん大切なのは、本人の状態に合っているかどうかです。
今回は市販の介護食3種類を写真で比べました
ここからは、実際の写真で違いを見ていきます。今回使ったのは、キユーピーの「やさしい献立」シリーズです。
ただし、この記事は商品の味やおすすめ度を比べるレビューではありません。
あくまで、3つのやわらかさの違いを見比べるための一例として使っています。




パッケージだけを見るとどれも「やわらかい介護食」に見えますが、実際にお皿に出してみると、粒の残り方・とろみ・なめらかさにはっきり違いがありました。
歯ぐきでつぶせる(区分2)|粒や具材感が残りやすい


「歯ぐきでつぶせる」は、やわらかく調整されていますが、粒や具材感が残っているのが特徴です。
スプーンですくうと、ごはん粒や具材の形が見え、今回の3つの中ではいちばん「食べ物の形」が残っていて、食事らしさを感じやすい見た目でした。
ただし、形が残りやすい分、口の中でまとめる力や飲み込む力も必要になります。
見た目がやわらかそうでも、本人にとって食べやすいとは限りません。
舌でつぶせる(区分3)|粒は細かく、とろみがある


「舌でつぶせる」は、歯ぐきでつぶせるタイプよりも粒が細かく、とろみが多い印象でした。
とろみで全体がまとまっていて、舌と上あごでつぶしやすい形に近づいています。
ただし、同じ「舌でつぶせる」でも、おかずの種類や商品によって、水分量やとろみの感じ方は変わります。
かまなくてよい(区分4)|なめらかなペースト状に近い


「かまなくてよい」は、粒や具材感がほとんどなく、なめらかなペースト状に近い見た目でした。
かむ力がかなり弱くなっている方や、固形物が食べにくい方の選択肢になります。
ただし、「かまなくてよい」と書かれているからといって、誰にとっても安全という意味ではありません。
食べ物がなめらかでも、飲み込む力が弱くなっている場合は、むせたり、飲み込みにくさを感じたりすることがあります。
不安がある場合は専門職に相談してください。
スプーンですくうと、まとまり方の違いがわかります


スプーンですくうと、まとまり方の違いがよりはっきりします。
- 歯ぐきでつぶせる:形が残りやすい
- 舌でつぶせる:とろみがあり、やわらかくまとまる
- かまなくてよい:なめらかで、ひとまとまりになりやすい
ここでも「どれが正解」ではなく、本人のかむ力・飲み込む力に合っているかが大切です。
食べにくそうだなと思ったときに見るポイント


ふだんの食事で、次のような様子がないか見てみてください。
- 食事中にむせていないか
- 口の中に食べ物が残っていないか
- 食べるのに時間がかかりすぎていないか
- 途中で疲れていないか
- 水分だけ先に流れていないか
- 食後に声がガラガラしていないか
- 食べる量が急に減っていないか
- 本人が食事を嫌がっていないか
こうした変化があるときは、食事の形が合っていない可能性もあります。
UDF区分を知っておくと、病院や施設にも相談しやすくなる


UDF区分を知っておくと、いざというときに役立ちます。
「最近よくむせる」「口の中に食べ物が残っている」「食べるのに時間がかかる」——そんな変化に気づいたとき、共通の目安があると、「今はこのくらいのやわらかさを食べています」と伝えやすくなります。
食事のことは、家族だけで判断しなくて大丈夫です。
病院や施設のスタッフ、ケアマネジャー、管理栄養士、言語聴覚士などに相談するときにも役立ちます。
UDF区分を知っていると話がスムーズになり、本人に合った食事を一緒に考えやすくなります。
ちなみに「言語聴覚士(げんごちょうかくし)」は、ことばのリハビリだけでなく、飲み込みのリハビリも専門にしている職種です。
市販品や宅配食を選ぶときにも、UDF区分は目安になる


毎日の食事を家で用意するのが大変なときは、市販の介護食や宅配食を取り入れる選択肢もあります。
そんなとき、今のお食事が「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」のどれに近いかを知っておくと、商品を選ぶときの目安になります。
ただし、宅配食には「やわらか食」「ムース食」「ペースト食」など会社ごとにいろいろな名前があり、名前だけでは実際のやわらかさがわかりにくいこともあります。
名前だけで判断せず、各サービスの商品説明や区分表示を確認してから選ぶと安心です。
この記事は「やわらかさの目安を知る」ための内容です。
実際にどの段階を選べばいいかの具体的な選び方は、介護食のやわらかさの選び方|噛む力と飲み込む力を分けてみるでくわしく紹介しています。
「やわらか食」と「ムース食」の違いはやわらか食とムース食の違いでもう少し詳しく紹介しています。
退院直後など、急に食事の準備が必要になったときの選び方は退院直後の食事も参考になります。
「舌でつぶせる」に近いお食事を宅配で探すときは、会社ごとの違いをまとめた記事もあります。
👉 ムース食の宅配はどこがいい?介護食4社を比較|やわらか食が食べにくい方に
やわらか食もふくめて会社を見比べたいときは、7社をまとめた記事もあります。
👉 介護食の冷凍宅配おすすめ7社を比較|やわらか食とムース食を食べる力で選ぶ
毎日の食事づくりがつらいときは、宅配ごはんも選択肢のひとつ
やわらかさの合う食事を、毎日家で用意するのは大変です。
冷凍の宅配ごはんなら、そんな日の負担を軽くできます。
常温タイプとの違いや介護での使い方は、こちらでやさしくまとめています。
UDF区分(ユニバーサルデザインフード)のよくある質問


- UDF区分の「区分1」ってどれのこと?
-
UDF区分には1〜4の番号がついています。
区分1が「容易にかめる」、区分2が「歯ぐきでつぶせる」、区分3が「舌でつぶせる」、区分4が「かまなくてよい」です。
数字が大きいほど、やわらかくなめらかになります。
- ユニバーサルデザインフードにはどんな種類がある?
-
かたさや飲み込みやすさで、4段階に分かれています。やわらかい順に、容易にかめる→歯ぐきでつぶせる→舌でつぶせる→かまなくてよい、と並びます。
- ユニバーサルデザインフードはどこで買える?
-
ドラッグストアやスーパーの介護食コーナー、インターネット通販などで購入できます。
会社によっては、冷凍の宅配食にもUDFの区分が表示されています。
宅配を取り入れる選び方ははじめての冷凍宅配ごはんでまとめています。
- UDF区分と「学会分類」は違うの?
-
別のものです。
UDF区分は、市販の介護食品につけられる目安で、日本介護食品協議会が決めています。
学会分類(嚥下調整食分類2021)は、病院や施設など医療の現場で使われる分類で、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が決めています。
どちらの段階が合うかは、医師・管理栄養士・言語聴覚士などの専門職に相談すると安心です。
まとめ|まずは3つの違いを知っておくと、食事の相談がしやすくなる


介護が始まると、食事形態の言葉がたくさん出てきて混乱しやすいものです。
そんなときは、やわらかさの目安になるUDF区分を知っておくと、整理しやすくなります。
- 「歯ぐきでつぶせる」は、粒や具材感が残りやすい
- 「舌でつぶせる」は、粒が細かく、とろみがある
- 「かまなくてよい」は、なめらかなペースト状に近い
ただし、やわらかいほど良いのではなく、本人に合っていることがいちばん大切です。
食べにくそうな様子があるときは、家族だけで抱え込まず、病院や施設、専門職に相談しながら、本人に合った食事を見つけていきましょう。



