特養の食事形態は何種類?決め方もわかりやすく解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
しおむすび

「施設では、どんな食事を食べているんだろう?」

特養では、入居者さんの食べる力に合わせた食事が出ているんですよ。主な形態や決め方を、まとめて解説します。

在宅で高齢の家族の食事を用意していると、ふと気になることはありませんか。

「施設では、食べにくい人にどんな食事を出しているの?」
「普通食、きざみ食、ムース食って何が違うの?」
「どうやって、その人に合う食事形態を決めているの?」
「家でも同じように考えた方がいいのかな?」

介護食を調べていると、やわらか食、きざみ食、ムース食、ペースト食、とろみなど、さまざまな言葉が出てきます。

言葉だけを見ると難しく感じますが、食事形態は簡単にいうと、その人が食べやすい形に整えた食事のことです。

私は特別養護老人ホームで、15年以上食事介助に関わってきました。

施設では、入居者さん一人ひとりの食べる力や体調に合わせて、食事の形を調整しています。

この記事では、特養で見られる主な食事形態の種類や、食事形態をどう決めていくのかを、在宅介護の食事にもつなげやすいようにわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 特養の食事形態はどうやって決まるか
  • 主な食事形態の種類(普通食〜ゼリー食)とその違い
  • 食事形態の見直しのタイミングとサイン
  • 在宅で食事形態に迷ったときの相談先
目次

特養の食事形態はどうやって決まる?

特養の食事は、管理栄養士だけで決めているわけではありません。

もちろん、毎日の献立や栄養バランスは管理栄養士が中心になって考えています。

ただ、食事形態を決めるときは、食べる本人の状態を多職種で確認しながら考えていきます。

たとえば、

  • 管理栄養士
  • 看護師
  • 介護士
  • ケアマネジャー
  • 歯科医師や訪問歯科
  • 必要に応じて医師や言語聴覚士
  • 本人や家族

などが関わることがあります。

施設では、毎日の食事の様子を見ながら、

  • むせ込みはないか
  • 食事に時間がかかりすぎていないか
  • 口の中に食べ物が残っていないか
  • 食事量が減っていないか
  • 体調の変化はないか
  • 本人が食べにくそうにしていないか

を確認しています。

そのうえで、「今の食事形態が合っているか」「もう少し食べやすい形にした方がいいか」を考えていきます。

特養は、病院のように治療を目的とした場所ではなく、生活の場です。

そのため、食事も「安全に食べること」だけでなく、できるだけその人らしく食べること、食べる楽しみを残すことも大切にしています。

特養で見られる主な食事形態

施設によって呼び方は異なりますが、特養では次のような食事形態が使われることがあります。

食事形態食事のイメージ向いている可能性がある方
普通食一般的な食事に近い形噛む力・飲み込む力に大きな問題がない方
やわらか食普通食よりやわらかく、噛みやすい食事かたいものが食べにくい方
きざみ食食材を細かく刻んだ食事大きなものが噛みにくい方
ムース食なめらかで、舌でつぶしやすい食事噛む力が弱い方
ペースト食さらに細かく、なめらかな状態にした食事口の中でまとめにくい方
ゼリー食ゼリー状に整えた食事飲み込みやすさに配慮が必要な方

この表はあくまで目安です。

実際には、施設によって名称や基準が違います。

また、同じ「きざみ食」「ムース食」といっても、施設ごとに形やかたさが異なることがあります。

普通食とは

普通食は、特別に形を変えていない一般的な食事に近いものです。

噛む力や飲み込む力に大きな問題がなく、通常の食事を食べられる方が対象になることが多いです。

ただし、高齢者施設の普通食は、家庭の食事よりも食べやすく調整されていることがあります。

たとえば、

  • かたすぎる食材を避ける
  • 魚の骨に配慮する
  • 食べやすい大きさにする
  • 水分を含みやすい調理にする

などです。

「普通食」といっても、若い人が食べる食事とまったく同じとは限りません。

やわらか食とは

やわらか食は、普通食よりもかたさに配慮された食事です。

食材の形は残しつつ、噛みやすいようにやわらかく調理されていることが多いです。

たとえば、

  • 肉がかたいと食べにくい
  • 根菜を残しやすい
  • 入れ歯が合わず噛みにくい
  • 普通食だと食事に時間がかかる

このような方に検討されることがあります。

やわらか食は、見た目が普通食に近いものも多く、食事らしさを感じやすい形です。

ただし、むせ込みや飲み込みに不安がある場合は、やわらか食だけで対応できるとは限りません。

その場合は、専門職と相談しながら食事形態を考えることが大切です。

きざみ食とは

きざみ食は、食材を細かく刻んだ食事です。

大きなものを噛むのが難しい方に使われることがあります。

ただし、きざみ食には注意点もあります。

食材を細かく刻むと、一見食べやすそうに見えます。
でも、口の中でバラバラになりやすく、まとまりにくいことがあります。

そのため、人によっては、きざみ食がかえって食べにくくなることもあります

施設でも、きざみ食が合わない場合には、やわらか食やムース食など、別の形に変更することがあります。

「細かく刻めば安心」と決めつけず、実際に食べている様子を見ることが大切です。

ムース食とは

ムース食は、食材をなめらかにして、舌でつぶしやすい形に整えた食事です。

噛む力が弱くなっている方や、口の中で食べ物をまとめにくい方に使われることがあります。

ムース食は、やわらかいだけでなく、口の中でまとまりやすいように作られているものもあります。

ただし、「むせるからムース食にすればいい」と単純に決めることはできません。

むせ込みには、姿勢、食べるペース、ひと口量、水分の形、体調なども関係します。

むせ込みがある場合は、自己判断で食事形態を変えず、専門職に相談しましょう。

ペースト食とは

ペースト食は、食材をさらに細かくし、なめらかな状態にした食事です。

噛む力や口の中でまとめる力が弱くなっている方に使われることがあります。

見た目は普通食から離れやすいため、食べる楽しみや食欲への影響も考えながら選ぶ必要があります。

施設では、食べやすさと安全面だけでなく、本人の反応や食事量も見ながら調整していきます。

ゼリー食とは

ゼリー食は、ゼリー状に固めて、飲み込みやすさに配慮した食事です。

水分でむせやすい方や、飲み込みの状態に配慮が必要な方に使われることがあります。

ただし、ゼリー食が合うかどうかも、本人の状態によって違います。

食事形態は、見た目や名称だけで判断するのではなく、食べている様子を確認しながら考えることが大切です。

食事形態の見直しはいつ行う?

施設では、一度食事形態を決めたあとも、ずっと同じままではありません。

年齢を重ねる中で、噛む力や飲み込む力は少しずつ変化します。

一方で、体調が安定したり、入れ歯を調整したり、リハビリを続けたりすることで、以前より食べやすくなる方もいます。

そのため、施設では毎日の食事の様子を見ながら、「今の形態が合っているか」を確認しています。

見直しのきっかけになるサインには、次のようなものがあります。

  • 食事中によくむせるようになった
  • 食べるのに時間がかかるようになった
  • 口の中に食べ物が残るようになった
  • 食事量が急に減った
  • 発熱や肺炎を繰り返すようになった
  • 食事の後半で疲れやすくなった
  • 特定の食材だけ残すようになった

高齢者の場合、「食べにくい」が続くことで、食事そのものが負担になってしまうことがあります。

無理に普通食を続けるより、その方が食べやすい形に調整した方がよい場合もあります。

一方で、必要以上に細かい食事にしてしまうと、食べる楽しみが減ってしまうこともあります。

「安全」と「食べる楽しみ」の両方を考えながら、その方に合った形を探していくことが大切です。

食事形態が変わったら、元に戻れない?

ご家族から聞かれることがあるのが、

「食事形態が変わると、もう元には戻れないんですか?」

という不安です。

実際には、その時の体調や状態によって変わることがあります。

たとえば、体調を崩して一時的に飲み込みが弱くなった場合は、数日だけやわらかい食事に変更することがあります。

その後、体調が安定して「もう少し食べられそう」と判断された場合は、少しずつ元の食事形態に近づけていくこともあります。

ただし、無理に戻すことが目的ではありません。

大切なのは、今の本人に合った形で、できるだけ安全に、そして食事の楽しみを残しながら食べられることです。

施設では、本人の様子や家族の希望も確認しながら、無理のない形を考えています。

特養でよく使うとろみの種類と調整方法

飲み込みに不安がある方には、水分にとろみをつけることがあります。

とろみは一律ではありません。

施設では、その方の飲み込みの状態に合わせて、濃さを調整することがあります。

たとえば、

  • 薄いとろみ
  • 中間のとろみ
  • 濃いとろみ

のように、段階をつけることがあります。

(日本摂食嚥下リハビリテーション学会「学会分類2021(とろみ)早見表」を一部参考にしています)

ただし、とろみは濃ければよいというものではありません。

濃すぎると飲みにくくなったり、口の中に残りやすくなったりすることもあります。

そのため、とろみの量や濃さは、本人の飲み込みの状態を見ながら調整する必要があります。

在宅でとろみを使う場合も、自己判断だけで進めず、医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などに相談すると安心です。

食事量が減ってきたときの対応

食欲が落ちてきた方や、食べる量が減ってきた方には、補助食品や補助ドリンクを使うことがあります。

少ない量でも栄養がとれるように工夫された食品です。

施設では、

  • 食事量が減っている
  • 体重が落ちてきた
  • 食事に時間がかかる
  • 食べられるものが限られている

といった場合に、管理栄養士などと相談しながら補助食品を検討することがあります。

最近は、少量でカロリーやたんぱく質をとりやすい補助食品もあります。

味の種類も増えていて、毎日同じものにならないように工夫できることもあります。

ただし、持病や食事制限がある方は、補助食品を使う前に医師や管理栄養士に相談しましょう。

食物アレルギーへの対応

食物アレルギーがある方には、入所前に情報を確認し、個別に対応することがあります。

施設では、

  • 食べられない食品
  • 過去のアレルギー症状
  • 医師からの指示
  • 家族からの聞き取り
  • 食事提供時の確認

などをもとに、できるだけ安全に食事を提供できるようにしています。

ただし、アレルギー対応の方法は施設によって異なります。

入所を考えている施設や、利用しているデイサービスで食物アレルギーがある場合は、必ず事前に確認しましょう。

施設によって食事形態や対応は違う

ここで紹介した内容は、あくまで私が勤務してきた施設での経験をもとにした一例です。

特養は全国にたくさんありますが、食事の内容や対応は施設によって違います。

同じ「ムース食」「きざみ食」という名前でも、実際のかたさや作り方が違うこともあります。

「施設の食事はどこも同じ」ではありません。

それぞれの施設で、管理栄養士や介護職、看護師などが工夫しながら対応しています。

今利用しているデイサービスや施設で気になることがある場合は、直接聞いてみるのがおすすめです。

たとえば、

  • どんな食事形態があるか
  • 食事形態は誰が決めているか
  • むせ込みがあるときはどう対応するか
  • 家族はどこに相談すればよいか
  • 食事量が減ったときはどうするか

を聞いておくと、在宅での食事を考えるときにも参考になります。

在宅で食事形態に迷ったときは相談を

在宅で食事を用意していると、

「もう少しやわらかくした方がいいのかな」
「きざみにした方がいいのかな」
「ムース食を試した方がいいのかな」
「最近むせるけど大丈夫かな」

と迷うことがあると思います。

でも、食事形態は自己判断だけで決めるのが難しいこともあります。

特に、むせ込みが増えている場合や、飲み込みに不安がある場合は、医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などに相談してください。

ちなみに「言語聴覚士(げんごちょうかくし)」は、ことばのリハビリだけでなく、飲み込みのリハビリも専門にしている職種です。

また、介護保険サービスを利用している場合は、ケアマネジャーや訪問看護、デイサービスのスタッフに相談できることもあります。

家族だけで抱え込まず、相談できる人を増やしておくことが大切です。

施設と同じような食事形態を家庭でそろえるのが大変なときは、冷凍宅配食も選択肢になります。

▶︎ 介護食の冷凍宅配おすすめ7社を比較|やわらか食とムース食を食べる力で選ぶ

まとめ|食事形態は「食べやすさ」と「楽しみ」の両方を見て決める

特養では、入居者さん一人ひとりの状態に合わせて、食事形態を調整しています。

主な食事形態には、

  • 普通食
  • やわらか食
  • きざみ食
  • ムース食
  • ペースト食
  • ゼリー食

などがあります。

食事形態は、噛む力や飲み込む力だけでなく、体調、食事量、本人の反応などを見ながら考えます。

また、一度決めたらずっと同じとは限りません。

体調によって一時的に変更することもあれば、様子を見ながら元の形に近づけることもあります。

大切なのは、無理に普通食を続けることでも、必要以上に細かい食事にすることでもありません。

今の本人に合った形で、できるだけ安全に、そして食事の楽しみを残しながら食べられることです。

在宅で食事形態に迷ったときは、家族だけで判断せず、かかりつけ医、歯科医師、管理栄養士、言語聴覚士、ケアマネジャーなどに相談しましょう。

やわらか食とムース食の違いを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

▶︎ 介護食のやわらか食とムース食の違い|噛む力・飲み込む力に合わせた選び方

介護食のやわらかさ選びで迷う方は、こちらの記事も参考になります。

▶︎ 介護食のやわらかさの選び方|噛む力と飲み込む力を分けてみる

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

高齢者施設ナースのみかんです。
食事介助においては、
15年以上の実務経験を積んでいます。

誤嚥性肺炎の予防と、
口から食べる喜びを支えるケアに取り組んでいます。

目次