介護ごはんを始めようと思って「介護食グッズ」で検索したら、たくさんありすぎて、何から買えばいいか迷ってしまいませんか。
梅むすび「介護食グッズって、どこから揃えればいいの…?」



「とりあえず買ったけど、結局使わなかったらどうしよう」
私は特別養護老人ホームで、ご利用者の食事介助や嚥下に配慮したケアに15年以上携わってきました。
そのなかで、食事介助の現場では「これがあると助かるな」、家庭で日々料理をするなかでは「これはなくても、まずは代用できるな」と感じるものが少しずつ見えてきました。



焦って全部そろえなくて大丈夫。必要なものから、少しずつでいいんです。
- 介護ごはんを始めるときに「最初にあると安心な道具」
- 調理の負担を減らせる道具3つ(圧力鍋・ハンドブレンダー・裏漉し)
- 常備しておくと頼れる食材リスト
- 急いで買わなくていいもの
- 「相談しながら選ぶ」とよい道具のこと
全部を一気にそろえなくていい


「介護食グッズ」と検索すると、専用スプーン・ミキサー・専用食器・とろみ剤……たくさんの商品が出てきて、何から買えばいいのか圧倒されてしまうかもしれません。
でも、食べる力や体調は、その日その日で少しずつ変わります。今日合っていた道具が、半年後にはもう合わないこともあります。
だからこそ、最初から全部そろえなくて大丈夫。
手元にあるもので始めて、必要になったときに少しずつ足していく——これが、ムダなく続けていくコツです。
食事のときに使う道具(毎回つかうもの)


食事介助のときに、あると安心な道具をいくつか紹介します。
エプロン
介護用エプロンは、「使われる側」が抵抗を感じる方もいます。最初はフェイスタオルを胸元にかけるだけでも、こぼれを受け止められます。
それでも服が汚れてしまう方には、防水タイプのエプロンを用意すると、お互いの負担が軽くなります。
スプーン・お箸
介護用のスプーンや箸は、形・大きさ・素材がたくさんあります。
「とりあえずこれを買う」よりも、できれば言語聴覚士・歯科衛生士・福祉用具の相談窓口などと話しながら選ぶのが理想です。
本人の口の大きさ、握力、噛みやすさによって、合うものが変わります。
小さめの器・深さのある器
専用の介護用食器を急いで買わなくても大丈夫。
まずは家にある小さめの器や、少し深さのある器から試してみてください。
器のフチに少し深さがあると、スプーンですくいやすくなります。
とろみ剤
とろみ剤は、水やお茶、汁物などに少量混ぜると、全体がとろっとまとまって飲み込みやすくなる粉です。
サラサラした水分でむせやすい方の飲み物に使います。
ドラッグストアやネットで買えます。
滑り止めマット
お皿の下に敷くタイプ。食事中にお皿が動かなくなるだけで、ご本人もすくいやすく、こぼれにくくなります。
計量スプーン+小さなコップ
とろみ剤の濃さを「いつも同じ」に作るために、計量スプーンと小さなコップがあると便利です。
「だいたい」で作るより、毎回の安定感が変わります。
あると調理の負担を減らせる道具


ここからは、調理のときにあると料理の負担を減らせる道具です。手元にあるなら活用、なければ少しずつ揃える、で大丈夫です。
圧力鍋
家庭で使っています。やわらかく煮込むのに、時間がぐっと短縮できます。
- 形は残りつつ、芯までやわらかくなる
- 大根の煮物、根菜類などが短時間で仕上がる
- お肉もほろほろになるので、噛む力が落ちてきた方にも食べやすい
ハンドブレンダー(スティック型)
据え置きのミキサーよりも、スティック型のハンドブレンダーをおすすめします。
- 泡立て器や別の先端に付け替えられるタイプなら、普段の料理にも使える
- 鍋に直接入れて使えるので、そのまま使えて洗うのもひとつで済む
- ミキサーより、使う幅がぐっと広がる
裏漉し器
裏漉しがあると、サツマイモ・カボチャなど繊維のある食材も、口当たりよくなめらかにできます。
ブレンダーだけでは残ってしまう繊維が、裏漉しを通すとスッキリ取れます。100均でも買える簡易なものから始めてOKです。
常備しておくと頼れる食材


「今日、何作ろう」と迷ったときに、冷蔵庫・冷凍庫にあると頼れる食材です。スーパーで普通に買えるものばかりです。
- 絹豆腐:そのままでも、温めても、料理にも
- 卵:茶碗蒸し、卵がゆ、ふんわり卵焼き
- バナナ:そのままでつぶしやすく、栄養もある
- レトルトおかゆ:温めるだけ。常備しておくと安心
- 冷凍の切り身魚(タラ・カレイなど):骨が少なく、煮るとほぐれやすい
- 冷凍カット野菜・うらごし野菜:下ごしらえの時短に
- ヨーグルト:飲み込みに問題ない方向け
急いで買わなくていいもの


最後に、「最初は焦って買わなくていい」ものも紹介しておきます。
- 業務用クラスの大型ミキサー:高価。ハンドブレンダーで十分なことが多い
- 高価な専用食器:見た目はいいけど、本人に合うかは別。様子を見てから
- レトルト介護食の大量買い:味の好み・固さが合うかを少量で試してから
「買ったのに使わなかった」が続くと、続けることが負担になります。必要になってから、必要な分だけでOKです。
道具より先に大事なのは「観察」


道具や食材をそろえる前に、いちばん大事なのは「食べる様子をよく見る」ことです。
- どんなものを残しているか
- むせていないか
- 食べるスピード、量
- 飲み込むまでにかかる時間
こうした観察があって、はじめて「この人には何が合うか」が見えてきます。道具は、必要になったときに足していけばOKです。
→ 介護ごはんの基本については:介護食とは?普通のごはんとの違いと、はじめて知っておきたい介護ごはんの基本
まとめ:少しずつ、必要なものから


最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 介護ごはんの道具は、全部一気にそろえなくて大丈夫
- 食事介助でまず使うのは、エプロン(タオル代用OK)・スプーン・とろみ剤・滑り止めマット・計量スプーン
- 調理の負担を減らせるのは、圧力鍋・ハンドブレンダー・裏漉しの3つ
- スプーンやお箸は、相談しながら選ぶのが理想
- 道具より先に、食べる様子を観察することが何より大事
毎日のごはんのことだからこそ、無理せず、少しずつそろえていきましょう。
本記事は情報提供を目的としたものであり、医療行為や専門職による診断・指導の代替ではありません。お体の状態や飲み込みの力には個人差があります。食事の形や内容に迷うときは、医師・歯科医師・言語聴覚士・管理栄養士などの専門職にご相談ください。




